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なんとなく適当に書いてるだけです

ネタバレを観たうえで「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を観た話

この記事は、映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」のネタバレを含みます。

(あといつにも増して論点が謎です)

 

 


映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を観た。
知る人は少なくないと思うが、この作品は公開直後(試写会の時点で内々には色々言われてたと小耳に挟んだりもしましたが)より、かなりの低評価を受けている。
低評価の大きな要因は、作品終盤の展開のようだ。原作シリーズや既存のメディアミックス作品のファンには引っかかる点も散見されるようだが、感想を見る限りでは「終盤の展開を受け入れられるか否か」が評価を分けていると見て取れた。
そして今日、私も(有給を取って)その作品を鑑賞してきた。


私は、ドラゴンクエストシリーズについては、自分がそう熱烈なファンではないと思っている。
それぞれの作品のストーリーについては概ね把握しているが、実際に徹頭徹尾プレイしたのは数本だ。
エピソードについてはそれなりに記憶をしているが、詳細に覚えているかと問われれば、プレイしていない作品は特に怪しい。
公式から出版された関連書籍は多少目を通しているが、なにせ歴史の長いシリーズなので、今未だに手にしたことがないものも数多い。
ただ、その中で想い入れが強いのがドラゴンクエスト5だった。
ゲームをプレイし、小説版を読み、CDシアターを視聴した。「天空物語」のコミックスも全巻持っている。大学のサークル新入生歓迎会では、向かいに座った先輩と「ビアンカ派かフローラ派か」で争った。(デボラ派には申し訳ないことをしている)
だから、惨憺たる評価と終盤の「衝撃の展開」をネタバレを見てしまい、それでも劇場に足を運んだ。

 

結論から言えば、「私は紛れもないクソ映画だと思った」。

設定改変がいちいち気にかかり、原作とのキャラクターの違いに動揺しながら観ていた。
なんとかそれらに馴染んできたところで、唐突に噂の「ミルドラースもどき」が出てきて、突きつけられる言葉が「大人になれ」だ。
なってるよ!!仕事もせず学校も行かずでゲームに没頭しているのならまだしも、正当な手続きで得た休日だよ今日は!!この映画の鑑賞料金も私のお給金から出ています!!
主人公がニートの設定であれば納得できたかもしれないが、別段そういう様子もない。ごく普通にドラゴンクエスト5を愛してきた真っ当な(ちょっとノリが痛い)社会人にしか見えない。
詳しい内容については解説する記事が多数存在するため割愛するが、あの「ラスボス」と謎の説教については「誰だよお前……人の娯楽に外野からケチつけんなよ……」以外のコメントがない。
ネタバレ観てなかったらキレてたかもしれないので、なんとか重傷ですんでよかったです。

個人的に思ったことだったが、この作品が全体的にドラゴンクエストシリーズのファンに向いていない。特に、ドラゴンクエストの二次創作をするようなファンには。
ごく一部を除く、ほとんどの人がそうだと思うが、二次創作をする前には原作を観る。キャラクターを把握するためにセリフや行動の傾向を注意深く観察し、やがて覚えるだろう。
少なくとも私はこれが癖になっていて、(二次創作するつもりで作品を観ていなくても)キャラクター印象づけるシーンやセリフは記憶の端に引っかかっていることが多いし、その記憶との矛盾にやや過敏だ。
そして、そういった状態の人間がこの「YOUR STORY」を観ると、原作ゲームや既存の作品との違いに悩まされる。キャラクターに与えられる設定の違い、原作からオミットされた要素、それらが混乱を招くのだ。
「妖精界を救うエピソードはオミットされてて、ヘンリーは攫われたことになってて……あとなんか全体的にキャラの性格が違うし、ゲームだとビアンカは回復呪文覚えなくない?(あれが呪文かはよくわからなかったけど)」
設定の改変は、メディアミックスにおいては珍しくないことだ。「小説 ドラゴンクエスト」では結婚に関するエピソードが大きく変更されているし、「天空物語」では原作ゲームにも登場するドリスが戦闘要員になっている。(そしてめっちゃ胸が大きい)
原作ゲームの長大なストーリーを決められた尺の中に収めなくてはならない以上、設定を削るのは自然なことだ。映画という媒体にするためにより分かりやすく設定を改変する事も必要だろう。
しかし、設定の変更が積み重なり……そこに「実はこの世界はゲームだった!」というオチに向かうための伏線らしき何かが組み合わさることにより、「この改変は果たして何なのか?」と疑問を持つようになってしまった。
「YOUR STORY」内の違和感が、尺や媒体を理由とした改変なのか、制作サイドの原作軽視による粗なのか、オチに向けての伏線なのか、判断が付かなくなるのだ。
二次創作においては、原作からの過度な改変を避けることが多いだろう。必要に迫られた場合を除いては、いわゆる「捏造設定」は避けるべきだという考えが浸透しているように感じる。
理由があるんだかないんだかよく分からないままに原作から改変された設定を見せられ続けるのがより苦痛に感じるのは、間違いなく二次創作の経験がある人間だと思う。とりわけ原作の世界観を尊重する創作を心がけているのであれば、この苦しみはひとしおであることは間違いないでしょう。

 


例によって例のごとく、書いているうちに頭が混乱してきた。やめろ、メダパニは映画内に出てきていないぞ。
おまけに、いつもの記事とは語り口まで違うじゃないか……

劇場に引っ張って鑑賞に付き合わせた母(ドラクエ5は2時間くらいやった)は、「面白かった」と言っていたので、多分「YOUR STORY」は既存の作品に思い入れがある人間ほどハマりやすい泥沼なんだと思います。
とはいえ私はおおむねのことは分かっていて観に行ったので、まだマシな方なんじゃないでしょうか。毒の沼地の真ん中に立ってる看板を読みに行くタイプですし。
我こそはドラゴンクエストファンである!という方は、ネタバレを読まずに鑑賞を避けるか、ネタバレを観たうえで覚悟して観に行くのがよかろうかと思います。

 

 


機会があったら二ノ国でも観に行こうかなあ。

 

 

おまけ書く元気はないです。

機会があったら小説版の結婚エピソードの話をしたいです。